2009年10月11日

『罪と音楽』(小室哲哉著)

僕は、こういった芸能人の告白本に対しては、実はそんなに期待して読んでいないのだけど、小室哲哉の作ってきた音楽が嫌いではない僕としては、それほど抵抗感が無く、彼の主張を受け入れることが出来た一冊だった。

罪と音楽罪と音楽
著者:小室 哲哉
販売元:幻冬舎
発売日:2009-09-15
おすすめ度:4.5
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主に3つのテーマが交錯して展開する。

一つは、自分の起こした詐欺事件の逮捕から執行猶予判決までの心の遷り様。もう一つは、他人から見れば輝いていた時期の小室哲哉は、実は精神的に追い詰められ、「生きながらにして死ね」と幻聴が聞こえていて、金遣いが荒くなっていった状況の話。そして、「いい曲+企画=ヒット」という公式とも語られているけれど、単に「いい曲」だけではヒットせず、企画があるからこそ、ヒットを生ませられるというビジネス的な側面から音楽を語っている部分。

特に私が面白く感じたのは、JPOPを、つんくと共に「わかりやすさ」の追求に走っていかせてしまったという分析のところで、ちょっと引用してみよう。
僕の勝手な見解としては、僕ら2人が両輪となり、拍車をかけてしまった現象がある。Jポップの「わかりやすさの追求」だ。
では、「わかりやすい」とは何か?
僕は、「高速伝達」「より早く伝えようとするための方法のひとつ」と捉えている。
「できる限り、直感的、反射的に伝わるよう心がけること」
これはポップスを作るときに不可欠なキーワードだ。しかし、限度を超えてしまうと、高度や高尚なメロディは不可欠になっていく。それは成熟と逆行する流れだ。
「わかりやすくする」「シンプルにする」が、本来の意味から乖離して、「
音楽のレベルを落とす」「音楽を単純にする」と同義語になってしまう。
21世紀に入った頃、実は僕自身も驚いていた。ここまで簡単にしなくてはいけないのか?と。
こう言っては手前味噌になってしまうが、僕やつんく♂さんの音楽には、新たなわかりやすさを作り出そうという模索が、まだあったのではないかと思う。しかし、全体を見渡すと、正直ちょっと馬鹿じゃないと(ちょっと馬鹿にならないと)書けないくらいの歌詞やメロディまであった。
だから、自分は前進したいのに、時代は後退しているという葛藤に悩まされもした。

この辺は、アーティスト側ではなくて、オーディエンス側の人間でも、90年代の音楽を知っていれば、「確かに」と感じる話ではないだろうか。

あるテーマを共有すること、これはビジネスの世界でも同じで、営業マンと顧客が、商品やサービスを理解すること、これにスピードをもって伝達できれば、そのビジネスはうまくいく。
「わかりやすさ」というものが「サービスの低下」につながってはいけないけれど、結果として「サービスの低下」になっている「簡単な商品」だけを売ってしまっている現状ではいけない。
提供できる商品やサービスを、どのようにして伝えるのか。いつも、このことだけを考えて、わかりやすく、でも、伝えるべきポイントは漏らさずに理解できるように。

ビジネスの対象商品は違えど、自省することのできる本でした。


dmatsu2005 at 15:02コメント(0)トラックバック(0) 
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